(2)免責の要件 不可抗力条項は、契約上の制裁からの免責を認め、かつ契約の終了および解除に関する規定をも含むものである。不可抗力条項による免責は、次のような要件を前提とする。 ?まず、協定または契約の不履行が生じたという仮定から始まり、不履行の当事者は本条項に規定されている免責事由の条件が充足されているならば、不履行に対して通常相手方がとるであろう協定または契約の終了もしくは解除のように契約上の制裁か ら、完全にあるいは一時的に責任を免れる。 ?その不履行は、障害(impediment) に基づくものでなければならない。この文言は、障害となる周囲の状況が、債務者の履行にとって不便であるとか、以前よりも負担が大きくなるというだけでは十分でなく、これによって履行が絶対的に不能となったことが非常に厳格に要求される。 ?免責事由となる障害は、不履行の当事者の支配を超えるものでなければならない。 ?当事者は、不測性(unforeseeability) という観点から免責とされる。しかし、履行を妨げた障害の中には、通常予知されるものもある。不履行の当事者が、その障害もしくは自己の履行能力に及ぼす影響を合理的にみて回避または克服することができたとみられる場合には、免責は否定される。 (3)免責事由とみなされる出来事 通常、免責条項には、予知しえぬ出来事とみなされるものが種類別に掲げられている。これらの出来事は、不可抗力条項に規定されているすべての条件が充足されているとき、免責事由とみなされる。 戦争および天災は不可抗力の典型的な例示であるが、これらに共通した特徴は、異常な性質であるということである。暴風雨やサイクロ−ンは適格であるとみられるが、単に悪天候だけでは駄目である。各種の労働争議が列挙されているが、これらはすべて債務者の企業内における仕事に関連したものでなければならないという条件が課せられている。債務者の企業に影響を及ぼす交通ストライキは適格とみられるが、債務者に製品・部品などを供給する供給者の工場におけるストライキは、特に契約中に明示されていなければ、通常は不可抗力事由にならない。一般的な労働・原料不足、供給者の不履行は、不適格である。 このような出来事は、免責事由として明示的に合意しておかなければ、いずれの当事者
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